東京地方裁判所 昭和27年(行)18号 中間判決
原告 太平商船株式会社
被告 日本橋税務署長
一、主 文
本件訴は適法である。
二、事 実
原告訴訟代理人は、「被告が昭和二十六年三月三十一日附で昭和二十三年三月一日より昭和二十三年九月三十日迄の原告の普通所得金額千百三十一万九千九百二十七円、超過所得金額千七十五万五千六百七十八円とした再更正処分を取消す。」旨の判決を求めると申立て、請求の原因として、
「原告は被告に対し、昭和二十三年三月より同年九月迄の所得金額を普通所得九百万七千八百三十四円、超過所得八百四十四万三千五百八十五円と申告したところ、昭和二十五年六月十四日国税庁調査査察部の調査を受けたが、被告はその調査の結果に基き、昭和二十六年三月三十一日附を以て原告の右期間内の所得金額を普通所得千百三十一万九千九百二十七円、超過所得千七十五万五千六百七十八円と再更正してこれを原告に通知し、原告は該通知書を同年四月二十五日受領した。原告は被告のなした右再更正処分は不服であつたので、同年五月二十四日これに対し被告を経由して国税庁長官に対し審査請求をなしたが、その後三ケ月を経過するも何等の裁決もなかつたので、被告のなした右再更正処分の取消を求むる為本訴請求に及んだものである。」と述べた(証拠省略)。
被告訴訟代理人は、訴却下の判決を求め、
「原告主張事実中、原告主張の再更正処分の通知書が昭和二十五年四月二十五日原告に到達したとの事実は否認する、その余の事実は認める。
被告は本件再更正処分の通知書を昭和二十六年四月十四日原告に宛て、東京都中央区日本橋江戸橋にある日本橋郵便局より普通郵便を以て発送したものであるから、該通知書は遅くも同年四月十六日には原告に到達している筈であつて、同年五月二十四日に至つて始めてなされた原告の審査請求は、一ケ月の審査請求期間経過後になされた不適法のものと言わねばならず、従つて又原告の本訴も適法なる審査請求を経由せざる不適法のものである。」と述べた(証拠省略)。
三、理 由
原告が被告に対し、昭和二十三年三月一日より同年九月三十日迄の事業年度の所得金額を普通所得九百万七千八百三十四円、超過所得八百四十四万三千五百八十五円と申告したがその後昭和二十五年六月十四日国税庁調査査察部の調査を受け、被告はその調査の結果に基き右事業年度の原告の所得金額を普通所得千百三十一万九千九百二十七円超過所得千七十五万五千六百七十八円と再更正し、これを原告に通知したことは当事者間に争がない。そこで該通知書が何日に原告に到達したかの点について見ると、証人大野誠六、管野圭子の各証言及びこれらによつて真正に成立したものと認められる甲第二号証の一、二並びに成立に争のない甲第一号証の二中日附印の部分を総合すれば、右通知書は昭和二十六年四月二十五日原告会社に到達したものであることが認められる。尤も証人柳沢和夫の証言とこれによつて真正に成立したものと認められる乙第二号証の一、二を総合すれば、右通知書は昭和二十六年四月十四日日本橋税務署の文書発送係に廻付されたことは認められるのであるが、右通知書が同日発送せられたものと認むべき証拠はないし、又他に前記認定を覆えし、右通知書が同年四月二十四日以前に原告に到達したことを認め得べき証拠もない。而して原告が右再更正処分を不服とし、昭和二十六年五月二十四日被告を経由して訴外国税庁長官に対して審査請求をなしたことは当事者間に争がないから、原告の右審査請求は法人税法第三十五条第一項所定の期間内になされた適法のものと言うべく、更に原告の本訴は、右審査請求に対する決定を経ずに提起されたものであることは当事者間に争がないが、右原告の審査請求のあつた日である昭和二十六年五月二十四日より三ケ月以上を経過した昭和二十七年三月三十一日に提起されたものであることは当裁判所に明白であるから原告の本件訴は適法なものと言わなければならない。
よつて主文の通り裁判する。
(裁判官 毛利野富治郎 桑原正憲 山田尚)